9月3日の「こみっくトレジャー30」にて、サークルとして初めて「ジークレープリント」を頒布しました。7mm厚アクリルマウント、メタリックペーパー、下駄付きという特殊仕様は公開後すごく反響がありました。

そこで、まずはジークレーについて知っていただこうと(自分自身も含めて)検証記事を作成しました。

ジークレーの紹介(グラフィック社より引用)
IRIS社が1980年代に開発したIRISという名のプリンターを、写真家で音楽家のグラハム・ナッシュが使用したことが、ジークレー(ジクレー)の起源です。
ジークレー(ジクレー)とは、フランス語で〝吹き付けて色を付ける〟という意味で、リトグラフやシルクスクリーン版画と違い、版を用いずに刷り上げるのが特徴です。
具体的には、デジタルデータを上質なキャンバスや版画用紙、高級写真用紙や和紙など、最高級の素材に、高精細で広色域、しかも150~250年規模の高い保存性を誇る、ミュージアム・クオリティの顔料プリントを施します。
ポスター印刷との最も大きな違いは、作家自身が監修を行い、プリント工房(グラフィック)と共同で作り上げる【作品】という点です。
音楽業界に例えると、作家はミュージシャンでプリント工房(グラフィック)はレコーディングエンジニアにあたります。
プリントに加筆を施したり、サインやエディション番号を作家自身が書き加えることにより、美術作品としての価値を、より高めることが可能です。
これは、リトグラフ、シルクスクリーンに続く、現代アーティストのための新たな表現技法といえます。

で、結局どういうことなの?ということで、解説です。

ジークレー(ジクレー)とは、フランス語で〝吹き付けて色を付ける〟という意味で、リトグラフやシルクスクリーン版画と違い、版を用いずに刷り上げるのが特徴です。

私たちがよくみる一般印刷物はオフセット印刷と呼ばれる版をを使った印刷方法で刷られています。オフセット印刷の特徴は、「版が直接紙に触れない(オフセット)」ため版の磨耗が少なく、大量印刷に適していることです。一方ジークレーは、有り体に言うと、家庭用にもあります「インクジェットプリント」です。
オフセット印刷→リトグラフ
シルクスクリーン印刷→セリグラフ
インクジェット印刷→ジークレー
という呼び名でアート作品の制作欄に載ります。
広義で、これらすべてを『版画』と呼ぶようです。

具体的には、デジタルデータを上質なキャンバスや版画用紙、高級写真用紙や和紙など、最高級の素材に、高精細で広色域、しかも150~250年規模の高い保存性を誇る、ミュージアム・クオリティの顔料プリントを施します。

この部分は、どうなんでしょう?ほんとかよ!? 150年〜250年規模の保存性というのはどうやっても確認できませんから(科学的には証明されているらしい)、ある程度の信頼を置くとします。どこのサイトにも、耐久性200年と書いてました。ピサロや、モネ、ルノアールなどの印象派時代が150年前ですから、250年というのは「永久保存に近い」のではないでしょうか。250年前はというと、レンブラント、フェルメールを代表とするロココ美術からナポレオンの新古典主義への移行時期です。そのくらい前の絵が、今の印刷の状態で保存できるというのはすごいことです。
10年前くらいの本でも、日陰に置いていたのに結構色あせてたりします。
絵の保存は非常に難しいものです。

・最高級素材→本当に高級紙。アルシュのような紙は実際高いです。
・高精細、高色域→???
どのくらい高精細、高色域なのか調べました。
・・・調べてみたら、定量的な説明のあるサイトは発見できませんでした。機材の方を調べたらおおよそ7色〜12色顔料インクジェットプリントであるらしいです。(間違っていたらすみません)解像度についても調べることはできませんでした。こういう大事なことは書いてて欲しいです。今家庭用プリンタでも、4800dpi×2400dpi10色インクくらいの能力がある(しかも顔料インク)のでもしかしたら、ご家庭でジークレーは作れるのかもしれません。もちろん、印刷特性のそれぞれ違う高級プリント素材に、正確に印刷するのは確かな腕が必要です。

ポスター印刷との最も大きな違いは、作家自身が監修を行い、プリント工房(グラフィック)と共同で作り上げる【作品】という点です。
音楽業界に例えると、作家はミュージシャンでプリント工房(グラフィック)はレコーディングエンジニアにあたります。
プリントに加筆を施したり、サインやエディション番号を作家自身が書き加えることにより、美術作品としての価値を、より高めることが可能です。

なんだかぼかした表現で、もやっとします。唯一性のようなものが売りになるということでしょうか。それでは直筆サインの入っていないジークレーは、ほとんど家庭で復元できてしまうのではないでしょうか??結局のところ、重要なのは作家がどのような気持ちで作ったかなのでしょう。

[まとめ]
大量消費、大量生産の現代では、本当の意味での「一品モノ」のようなものは手に入りづらいです。もし一品モノが手に入る機会があったとしたら、今の時代、欲張ってゲットしに行くべきです。(本当にすくないです)
その一品モノに限りなく近い物品としてのジークレー印刷は、評価が別れるところでしょう。元はデータですから、どうしても複製できるものです。(と書いていて、いいことを思いつきました。自分しか持っていない元データを完全に消去してしまえば、印刷物でしか残っていないことになるので、現物持ってる人はハッピー。そのかわり自分は絶望しかない…)
今回作ったジークレーは、アクリルマウント仕様でしたので、それだけでももう自分では作れないもので、印刷のオペレーションのことを考えると、かなり高額でしたが作ってよかったなぁとおもいました。ご自分で作れるよって方は、そちらのほうが安く済むと思います。
あと、もう手元にないけど、本当にめっちゃ綺麗だった・・・(現物持ってる方は大事にしてね)

・ジークレーを作る人(作家さま用)へ
ジークレーはただのプリントです! ただし、長期保存ができるので、もしかするとHDD壊れるより持つので、お気に入りのイラストがありましたら是非ともモノとして残しておいて欲しいです。ご自分用でもいいと思います。制作のご相談がありましたらいつでも乗ります!

・ジークレーを購入される方へ
ジークレーはただのプリントです!ただのプリントとはいえ、本当に綺麗だし、直筆イラストというのは手に入る確率は非常に低い(ともすると原物も損失している可能性あり)ので、もしお気に入りの作家の絵で、手に入る機会があれば”買い”だと思います。その際、直筆サインなどが入っているとなお良しです。当の作家の方も持っていないデジタルイラストをファンが持っているという時代も来るかもしれませんね。

閑話休題。
ここ数年、よく原画展に行くようになりました。
原画展に行くたびに、あぁ、自分は本当に絵が好きなんだなと思えて、ほっとします。この線が、この塗りが、この構図が、絵から読み取れる情報がとっても多く、絵とシンクロしている気分になります。没入していくと、作家のノリや、心情なんかも読み取れるときがあって、怖くなるときさえあります。そのときの興奮というのは格別です。
結構長いこと漫画文化に触れていると、案外子供の頃に漠然と思っていた「原物は出版社に残っているはず」という考えが、ただの希望的観測だったことを知ります。残っているのならまだ良くて、紛失したものや、むしろ残っているのに、死蔵しているものがあるのは、とてもやるせないです。マジでジークレーで商品化してください!(某編集部へ)

学生の頃は、漫画雑誌のカラーページは切り取ってファイリングしていました。なぜそんなことをやっていたか自分でもわからないけど。この間夏コミの時に、(あのときファイリングしていた!)峰倉かずや先生の生原画を見られる機会があって、本当に感動しました!あの原画は、雑誌で見る印象となんら変わることがなくて、すげぇしか出てこなかったです。
雑誌や、画面上で見るイラストたちには、印刷物やjpg,pngになる前の元原画や元データがあるんだと認識させられました。普段意識しないからなおさら。(自分も作ってるんだけどね)
最近の気持ちは、学生時代のあの頃のミーハーな自分にもどりつつあります。見るのが楽しい。嬉しい! 勉強もせず、漫画に没頭していたあの頃。(勉強はしろよ)あの強烈な体験が、今の自分をかたちづくっているのは間違いないです。これは一種の呪いのようなものです。

今、幸い呪いをかける側にまわったようなので、たくさんの人を呪って回るのが、今の目標です!